2019/08/23 13:22
どうも、20minutes recordsの工場長、ヨシキです。
自分がリリースする作品について、恐らく発売日の時点で、その音源を世界で一番、数多く聴いている人間になる事を、レーベルを始めて作業開始してから気付きましたw
なので今後、自分が工程に加わってリリースする全ての作品について、レーベル独自というか、自分なりのレビューを書いてみようと思います。
The Emmanuelle Sunflower
エマニエルサンフラワー
"ジャスティスガールEP"
20minutes recordsの第一弾リリースとなる今作品。
A1.ジャスティスガール
意外(?)にも、いきなり元気の良いスタンダードなロックから幕を開ける。
シェインが脱退した直後にTHE POGUESが出した"WAITING FOR HERB"の感じに近いかな、と思いました。
「ジャスティスガール」という意味不明なフレーズからいつしか、「大丈夫、全てをあげる」という、宮下らしい徒手空拳のラブソングに仕上げる辺りが、「何をやってもエマサンだ」と言える所以かも。
A2.プルメリア
想定外にふざけまくってハードル上げるイントロw
それをサラリと超えてくるのはG.伊賀とマンドリン.江崎の強いコンビネーション。
今のエマサンは演奏の脇が締まったので、こういう事をやっても難なくすんなり聴けちゃうんすね。
途中の「アチョー」てふざけるとこも、ライブで街の方々がやると、全員酔拳になってヤバイんだろうな、と想像出来る辺りが、彼等の魅力であり危うさかなとw
「弱者の乱れ咲き」この言葉は、常に下から世界を見ている我々には共感性もある宮下らしいパワーワード。
B1.向日葵と太陽
マンドリン.江崎が加入し、作詞作曲を担当しているこの曲。
三拍子で裏を大事に取って、でも敢えてドラマティックな大仕掛けも用意せずにそのままの流れでプレイで攻めていく。
これは歌の持つパワーを信じてて、それを発揮出来るからこそ選べる手法だと思うけど、歌だけでそこまでイケるのは稀有だし、そこを見抜いて託せる江崎はさすがだなと。
そしてこういう曲で気付くのはベース.バッタ先生(俺はこう呼ぶ)の、実は攻めているフレーズだったりします。
バッタ先生に限らず、今のエマサンはライブハウス以外でも、バーやお祭りの野外など、過酷な環境でライブを重ねて、演奏力が相当タフになってますね。
そして全編を聴きまくって強く感じたのは、レコーディング(A2を除く)とミックスを担当した足立"panic"壮一郎氏の卓越した手腕。
この音数をまとめて臨場感も全く損なわれず、バンドの良さをナチュラルかつダイレクトに出せるミックス。
この人は素晴らしいと心から思います。
今作はサポート勢を含まないベーシックなエマニエルサンフラワーの演奏が収録されています。
という事は、いずれリリースされるであろう次のアルバムには、この曲たちがフルセットの演奏で収録…ゴクリ。
もはや横浜を代表するバンド、と言っても過言ではない筈なのに、イマイチそうなりきれてないエマサンw
その斬新なまでの不安定さに、逆に魅力を感じてしまうのは自分だけじゃなかったんだと、彼等のライブに集まる夜の街に暮らす面々を見て気付きました。
彼等の歌は、所謂リスナーとか購買層とかに寄り添うような、耳障りの良い優しさとは少し違う。
夜の街に暮らす「おれ」や「きみ」や「あなた」の物哀しさ、
明け方の川沿いで咲き乱れる明日なき暴走の美しさ、
孤独な自由を抱えながら踊り狂う、祭りの熱狂と終焉の寂寞を、
あまりに数多くのモノを内包し過ぎるが故に誰の手にも負えないモノとなっているような…
でもきっと、これからの時代、彼等のような存在は、音楽は、言葉は、もっと多くの「おれ」や「きみ」や「かれら」に必要とされていくような気がします。
そうなるんじゃないかな、そうなるといいな、そうなったら楽しいなw
とまあ、なが〜くなりましたが、要は一度、聴いてくれって話です。これだけ説明しても結局、一回聴く方が大いに意味があるので。
よろしくお願いします!
-ヨシキ(20minutes records工場長)-